今月の1冊は比較的最近起きた企業不祥事の研究書です。 マスコミ報道を通じて多くの方が、「ああ、あの事件ね」という感じでピンとくる事例が多数収録されています。コンプライアンス研修での事例研究の教材作成や、最近の不祥事のアウトラインを紹介するような講義のネタ本として重宝します。自動車や建材メーカーなど28社の事例が、「役員の不正報酬」「経営主導の不正会計」「子会社での経営不正」「マネージャークラスの不正会計」「生産部署での不正会計」「品質不正」及び「その他の不正事件」というようにジャンル分けされて紹介されています。やや会計不正に事例が偏っていますが、最終的に会計情報に重大な影響を与える事例が厳選されていますので、会計以外の分野での不正事例として捉えることもできるものが多数です。 不正事例の紹介だけでなく、不正防止や調査報告書を読むうえでの留意点なども解説されており、ここから得られる情報もコンプライアンス研修のネタとして大変貴重なものです。 (2021.02.28)
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