コンプライアンスリーダー制度を導入している企業とそうでない企業があります。コンプライアンス体制において絶対必須の制度ではありませんが、「有ると無いとじゃ大違い」です。まだ導入されていない企業様はこの機会にご一考ください。
(2020.12.13)
コンプライアンスリーダー制度を導入している企業とそうでない企業があります。コンプライアンス体制において絶対必須の制度ではありませんが、「有ると無いとじゃ大違い」です。まだ導入されていない企業様はこの機会にご一考ください。
(2020.12.13)
コンプライアンス・リーダー(以下、リーダー)とは、部門(事業拠点)に配置されたコンプライアンス推進の責任者(または担当者)です。企業によりコンプライアンス推進(責任)者、コンプライアンス担当者、コンプライアンス推進委員、あるいはコンプライアンス・オフィサーなどの呼称で呼ばれることもあります。
コンプライアンス部門はコンプライアンス委員会の事務局として、社内のコンプライアンス推進の企画・推進機関としての機能を担いますが、人事施策における人事部、会計施策における経理部のように、業務ラインを構成する各部門(拠点)に対して直接指示を出す権限を持たなのが普通です。そのため、コンプライアンス推進に関わる各種の施策(コンプライアンス教育、コンプライアンス意識調査など)への協力は、取締役会を通じた協力依頼を経て進める必要があります。コンプライアンス月間における全社イベントのような年に何回かという大規模な施策の場合はこれでも構いませんが、個々のコンプライアンス問題への対処のような日常的に生じる事案への対応の場合、これでは機動性が損なわれます。そこでコンプライアンスに関わる実務ラインを構築し、定常的な課題対応がこれを通じて行うことが合理的だということになります。これがコンプライアンス・リーダー制度(以下、リーダー制度)です。
上に述べたように、制度を構築することで得られる効用として、まずはコンプライアンス上の課題対応がフレキシブルになるという点があげられます。とくに顕著なのは、コンプライアンス教育を開催する際に受講者の人選と日程調整などを任せられることがあげられます。また、コンプライアンス意識調査において全社員の協力を得ることも容易になります。コンプライアンスに関わる日常的な報告を聴取することも可能となり、コンプライアンス部門の情報感度が著しく向上します。
業務効率の面だけでなく、部門(拠点)にリーダーが設置されることでコンプライアンス部門やコンプライアンス委員会からの様々なメッセージの伝達が容易になります。部門(拠点)の実情を把握したリーダーを経由して伝達することで、納得感の高い伝達が可能になり、確実な浸透が期待できます。同時に定着状況の監視も可能となります。
さらにはコンプライアンス経営を深く理解した人材プールの形成が可能になる点も大きな効用です。コンプライアンス方針の伝達や各種施策の推進に伴う取り組みに関与することで、リーダーは自然とコンプライアンス経営の理解を深めていきます。このような人材が育成されることで、コンプライアンス経営を支える人材の層が厚くなっていきます。
リーダーに任命される人材とはどのような人たちなのでしょうか。まず、リーダーに期待される役割からみて、管理職であることは必須だと言えます。一般社員にリーダーの責務を期待することには無理があります。また、部門(拠点)の隅々にまで視野が及ぶ人材であることが必要です。そのため、各部門(拠点)の管理業務の責任者を持って充てることが一般的です。ということは、リーダーにふさわしいのは部門(拠点)の総務部課長・管理部課長、もしくは相当職ということになります。
これらの方々は経理・総務・人事、またはITといった社内の中枢神経となる業務機能をすでに担っており、そこにコンプライアンスという視点を新たに上乗せしていただければよいということになり、リーダー育成という観点からも大幅に手間が省けることになります。もっとも、忙しすぎてコンプライアンスに時間を割き難いという結果にならないようにだけは注意が必要ですが。
(2020.12.13)
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