コンプライアンス・リスクの多くは悪しき職場特性が原因となって生じてきます。CLとしてリスク対策に責任を負うためには、リスクの源泉である職場特性に関心を持つ必要があります。自分の感覚だけに頼らず、新任者や中途入社の同僚の意見などを参考に、自部門を客観的に眺めるようにしてください。
コンプライアンス・リスクの多くは悪しき職場特性が原因となって生じてきます。CLとしてリスク対策に責任を負うためには、リスクの源泉である職場特性に関心を持つ必要があります。自分の感覚だけに頼らず、新任者や中途入社の同僚の意見などを参考に、自部門を客観的に眺めるようにしてください。
コンプライアンス・リスクを発見するためには、自分が所属する職場についての深い理解が欠かせません。コンプライアンス・リスクとは職場が持つ様々な不都合な特性が原因となって生じることが多いからです。同じ職場に長年所属していると、自職場の特性が見えにくくなってきますが、他部門から異動してきた人には、それまで所属してきた部門との比較において、今の職場の特性が見えるはずです。コンプライアンス・リスク対策に責任を負うべきCLは、異動してきたばかりの同僚や中途入社の社員、派遣社員などの意見を参考に、できる限り客観的な視点で自職場の特性を理解するように努めなければなりません。
まず、自部門のメンバーは自己の担当業務に関する知識は豊富かどうか、振り返ってみる必要があるでしょう。とくに「これはやってはいけない」という禁止規定についての確かな理解が大切です。重要な禁止規定を知らずに業務を行ってしまっていれば、いつ重大な違反行為が発生してもおかしくありません。「ルールを知っていればみんながそれを守ってくれるはずだ」というような期待は楽観的すぎますが、知らないルールは守りようがないのです。また、ルール違反だと知っていて違反行為を行う場合には、誰でも何らかの心理的な抑制が効くはずです。しかし、違反であるという認識がない人にはこのような抑制効果は期待できません。これが「無知な職場」の怖さです。CLには担当者の知識レベルを把握する努力が求められます。
表だって成果至上主義を唱える会社は少なくなってきましたが、部門によってはいまだにこの考え方が抜け切れていないところもあると思います。いうまでもなく、このような職場では「成果のためには手段を問わない」というような粗雑なマネジメントが行われ、それが様々な問題事象を引き起こします。また、上司の命令は絶対であり、逆らう者には容赦ない制裁が行われるような職場は、パワハラなどの人権侵害リスクと隣り合わせであると考えられます。このような偏った価値観が温存されている職場がかかえるリスクについても、CLは敏感になる必要があります。
ひとたび決定が下されると、何があっても後戻り(計画の見直しや中止)ができない職場があります。また、前例踏襲主義が蔓延し、重大な意思決定事項についても事実上の思考停止状態になっている職場もあるでしょう。このような職場では、時代の変化に対応して社会の求める倫理規範に従おうという意思決定も遅れがちです。この遅れが社会的批判の遠因ともなりかねません。
同じ部門に所属していながら、「隣は何をする人ぞ」というような見通しの悪い職場環境が存在します。このような職場では、同僚の問題行動を未然に防止することは難しく、重大な事件になって初めて周囲が気づくということも考えられます。コンプライアンス・リスクについては、職場の風通しの良さが確保されていれば、他の要素に多少の課題を抱えていたとしても重大な問題発生は防止できる可能性が高いといわれます。透明な職場環境の中では、悪質な行為を継続することは難しいからです。CLは、自職場の風通しの良否には常に留意し、職場のコミュニケーションの活性化に向けた働きかけが求められます。日々の「声掛け」などの良い職場習慣の確立なども、コンプライアンスの観点からは有効です。
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