危機管理とは想定を超える非常事態への対応であるため、CL本来の機能としては設定されないのが普通です。しかし、危機の原因がコンプライアンス問題である場合には、事態の鎮静化に伴って、再発防止策の検討など、CLとしての役割が生じてくるため、基本を理解しておきたいものです。
危機管理とは想定を超える非常事態への対応であるため、CL本来の機能としては設定されないのが普通です。しかし、危機の原因がコンプライアンス問題である場合には、事態の鎮静化に伴って、再発防止策の検討など、CLとしての役割が生じてくるため、基本を理解しておきたいものです。
危機とは通常のリスク対策では対応できないような想定外の事態が生じ、事業に重大な影響を及ぼすような出来事を指します。したがって、たとえコンプライアンス問題が引き金となった危機であったとしても、通常のコンプライアンス体制では対処が不可能で、全社的な危機管理体制が発動されます。このような状況は、コンプライアンス体制で想定されるCL機能の範囲を超えると考えられます。しかし、危機が一段落し、通常の業務体制に復帰するプロセスでは、平常時のコンプライアンス体制が機能を取り戻しはじめますので、CLの活躍の機会も生じてきます。ここでは、CLの素養として危機管理の基本を身につけましょう。
危機とは想定外の出来事が生じた結果として企業が重大な困難に陥る状況を指します。想定外の事態を想定した対策というのは自己矛盾であり、本来あり得ないものですが、想定外の事態が生じたことを察知し、速やかに危機管理体制を発動する仕組みは必要です。危機管理とは、このようなプロセスを可能な限り円滑に機能させるための平常時の備えを含んだ概念です。その要素としては、想定される危機の態様、それに対処し復旧に向かわせるプロセス、及びその機能を担う組織機構などが含まれます。
危機管理において最初の難題は、危機が生じたことをどのようにして察知するのかという点です。まずは状況の変化を把握し、それを意思決定者に迅速に伝達する仕組みが必要です。しかし、より難しいのはその状況を危機であると認定する意思決定であるといわれます。危機管理体制を発動すれば、通常の業務は停止し、危機対応に経営資源の大部分が割かれることになります。危機認定が遅れる原因は、万一、それが危機といえる事態ではなかった場合、この発動による損失に責任を負いきれるかどうかというジレンマが生じるためです。経営陣がリスクを負って危機認定を行うためには、迅速で正確な情報伝達の仕組みが機能することを、日常業務においても保持しておく必要があります。
危機認定が下されると危機管理体制が発動されます。しかし、体制が完全に機能できていない初期段階では、無為に時間が消費されます。ここでの損失を最小化するために、現場レベルでの初動対応が重要になります。危機管理本部が機能するまでの現場での意思決定は、現場に最も近い場所にいる最上級職位の者が行うことになります。あなたの上司がその任にあたる場合には、情報収集と伝達など、CLとして上司を補佐することが求められます。
危機管理体制が機能し始めた後は、危機管理本部の指示に従って、各自が与えられた役割を果たすことになります。その後、事態が沈静化し、復旧段階に移行すると、平常時のコンプライアンス体制が機能を取り戻すため、CLとしてCCO(またはコンプライアンス部門)の指揮下で任務を全うすることが期待されます。とくに、危機の再発防止に向けた各種の改善活動に関しては、CLにも大きな貢献が求められます。
Copyright © 2010-2019 Aqua Knowledge Factory Co., Ltd. All rights reserved.