コンプライアンス研修は、自社の経営理念に基づく重要研修である。単なるスキルアップではなく、コンプライアンスを重視する経営方針の浸透と定着化を意図した教育である。その教育内容は、制度説明や重要法令の理解促進に始まり、コンプライアンスリスクに対応できる業務プロセスの確立を含み、コンプライアンスを大切に思う職場風土の醸成(意識改革)にまで及ぶ。
コンプライアンス研修は、自社の経営理念に基づく重要研修である。単なるスキルアップではなく、コンプライアンスを重視する経営方針の浸透と定着化を意図した教育である。その教育内容は、制度説明や重要法令の理解促進に始まり、コンプライアンスリスクに対応できる業務プロセスの確立を含み、コンプライアンスを大切に思う職場風土の醸成(意識改革)にまで及ぶ。
大手企業を中心に、狭義のコンプライアンス体制構築(ルールや組織機構などの「仕組みづくり」)はかなり進んできている。組織設計に完璧はないため継続的な改善活動が求められるが、その組織を運営する「人」の育成はまさにエンドレスな取り組みである。毎年新たな人材が組織に流入し、すでに完成された人材が組織を去っていく。その補填のためだけでも継続的な教育が求められるが、環境の変化への対応については際限がない。さらに、より高度なコンプライアンス経営を目指していけば、「人づくり(人材育成)」に終わりがないことに気づかされる。
コンプライアンス研修は経営方針と理念に基づいて実施される研修である。トップの考える経営理念を組織の末端まで浸透させ、その理念に基づいて政策レベルだけでなく業務上の意思決定が行われる土壌を作り出すための研修である。したがってコンプライアンス研修は、個々人の自発的な受講動機に基づいて参加するものではなく、全社員必須の研修であり、受講は社員の義務と考えなければならない。
コンプライアンス研修の実施目的の1つに不祥事が発覚し、応急措置として実施されるケースがある。しかし、このような研修は一時凌ぎにすぎない。コンプライアンス研修は企業風土改革の一環であるから、長期にわたる継続的な取り組みが求められる。風土改革のためには社員一人ひとりが「何を大切にすべきか」に気づくことが必要であり、それを大切にするための判断能力と実務での行動能力を高めることが求められる。
知らないルールは守れない。これはコンプライアンス研修を考える際に決して忘れてはならないことである。どのように高尚なコンプライアンス概念を学んだところで、その教えに忠実であるためには、「何をなすべきか」「何をやってはいけないのか」を知らなければならない。また、中途半端な知識を持つ者や誤った理解に気づかない者は知らない者よりも危険なことがある。コンプライアンス研修における知識学習では、知る必要のある知識を確実に理解させることが最も重要である。
知識学習は重要であるが、それだけでは「ルールに詳しい人」を育成することはできても「ルールを守れる人」の育成には直結しない。ルール違反を発見し、その防止策を講じるには、リスクマネジメントや業務改善のスキルが必要である。部下の考え違いを正すには、上司が部下指導のスキルをもたなければならない。さらにリスクに強い風通しの良い職場作りのためにはコミュニケーションのスキルを高めなければならない。このようにコンプライアンス経営の実現には、ルールの周知にとどまらないトータルな人材育成が求められるのである。
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