研修企画では、合理的な検討手順を踏むことが大切である。「なぜこの研修を、この受講者に受けさせなければならないのか」という点について、説明責任を果たせなければならないからである。最終的には、全体としてどのような講座を用意するのかを研修体系としてまとめ上げる。
研修企画では、合理的な検討手順を踏むことが大切である。「なぜこの研修を、この受講者に受けさせなければならないのか」という点について、説明責任を果たせなければならないからである。最終的には、全体としてどのような講座を用意するのかを研修体系としてまとめ上げる。
研修企画では、最終的にどのような講座群を整備すればよいのかを明らかにし、研修体系を構築することが目的となる。これまで多くの企業での研修企画では、「足りないスキルがある」ということが判明したら、そのまま「それを教える研修を実施する」という検討プロセスをたどったと思われる。それでも効果がないわけではないが、これだけでは系統的な検討がなされたとはいえず、無駄も多いであろうし抜け落ちのリスクも考えられる。これからの研修企画では、あるべき検討手順を踏むことで、最終結論に対して説明責任を果たせるように心がけるべきである。
まず課題の確認から始める。この場合の課題とは、たとえばマネジメント研修であれば各階層に求める役割と現状業務の実態とのギャップ解消ということになる。仮に、「課長職には部下育成の役割を期待する」というが「現状の課長職は、実務には精通しているが指導法については素人同然である」ということであれば、この間のギャップ解消が課題となる。これがコンプライアンス研修であれば、「主任クラスには、職場のマイナス情報共有の要となってほしい」という期待に対して、「現状の主任は、『仕事のできる一般社員』の範疇を大きく出ていない」というようなギャップの解消が課題となる。
課題が明らかになっても、それがそのまま研修へのニーズとなるとは限らない。課題達成のためには研修以外の手段や、コンプライアンスの枠を超えた施策が必要となることもあるからである。ここでは、課題達成のためにはどのような取り組みが必要であるかを考え、その中で研修を活用できる余地を検討しなければならない。また、コンプライアンス研修の枠組みの中で考えるべき要素と人事部門に協力依頼すべき要素に分けることも重要である。全てをコンプライアンス部門が背負い込む必要はない。以上の検討過程を通じて、コンプライアンス研修へのニーズが固まる。
続いてニーズを研修体系に展開する。まず、誰に対して、どのような教育を行うのかを明らかにする。受講者別の学習目標の設定と言い換えることもできる。この段階での検討要素は以下の通り。これにより体系の枠組みが定まる。
① 想定受講者(階層、職種、年次、その他の役割などで定義)
② 抱える課題(できていないこと、新たに求めたい役割など)
③ 達成目標(何ができるようになってほしいのか)
最後は個々の講座イメージにまで落とし込む。ここでいう講座イメージとは、実際に開催する一つひとつの講座単位で、設計方針を定義したものである。講座別の学習目標の設定と言い換えることもできる。この段階での検討内容は、上に加えて以下の通り。
① 開催目的・学習目標
(開催の背景と意図、習得すべきスキルや得てほしい気づきなど)
② 講座設計方針(知識学習中心か、実践的な演習中心か、など)
③ 受講者数と所要時間
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