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コンプライアンスインストラクター・ハンドブック
(研修企画編)

13.Eラーニングの活用

 Eラーニングの代表格はWBTであるが、WBTには多くのメリットと同時に限界もある。WBTを過信せず、最適な場面を選んで集中的に使用することが、Eラーニング活用の成功ポイントである。

Eラーニングとは

 今日、最もEラーニングらしいEラーニングはWBT(Web Based Training)であろう。これはWEB技術を活用して、映像や文字などの多様な媒体を組み合わせて知識を伝達するタイプの教育メディアである。受講申し込みから学習、理解度テストと修了認定まで、WEB上で全てのプロセスが完結するため、紙媒体による通信教育を低コストで代替するツールとして普及している。WBT以外にも、通信回線を利用した遠隔教育や、DVDなどの媒体を活用した通信教育もEラーニングと呼ばれることがある。

WBTの利点

 WBTの最大のメリットは、集合研修のように受講者を一か所に集めて拘束する必要がないため、受講者の心理的負担や業務へのマイナス影響が少ない点である。また、好きな時間に好きな量だけ学習を行うことができるため、受講者の学習意欲に応じて受講することができる点もメリットである。適切なオーサリングツールを用いれば、社内での教材作成も比較的容易であり、オリジナルコースを用意しやすいことも利点である。さらに全学習プロセスがWEB上で完結するため、教育担当者の関与が少なく、物理的な教材授受もなく、コスト面でも大きなメリットがある。ITをフル活用できるため、修了状況だけでなく進捗状況の管理、成績管理(理解度)まで、包括的な受講管理ができる点も、従来型の通信教育にはないメリットである。

WBTの限界

 通信教育の限界である学習の動機付けが難しいことは、WBTの限界としてもあげられる。また、受講者へのPCの配布が不十分な場合、必須受講を求めることが非常に難しくなる点も限界としてあげられる。さらに、市販のWBTには受講期限があるものが多く、期限を過ぎれば振り返り学習が難しい点も限界といえる。

主な活用場面

 WBTが最も効果を発揮する活用場面として、法改正や社内規程変更の際の情報伝達があげられる。WBTでは期限を定め、その期間中に学習を完了すべく強制を行うことが容易であるため、このような緊急性を帯びたピンポイントの情報伝達には非常に適している。また、コンプライアンス研修でとり扱うべき学習内容を細分化し、短時間で学習できる知識を、隙間時間を活用して学ばせる際にも適したツールである。さらに、法令知識などに関するクイズを提供し、知らず知らずのうちに重要な知識を習得させる工夫もできる。企業によっては、コンプライアンスのケースなどを読み物として提供し、楽しみながらコンプライアンス意識を高めていくような取り組みを行っているところもある。

ブレンディング

 通信教育と同様、イントラネット上にWBT講座を並べるだけで活発な受講が期待できるわけではない。また、紙媒体の通信教育のように通勤時間の活用も難しい。そのため、最近ではWBTを単独で運用するのではなく、集合研修と組み合わせて活用する流れができつつある。WBTによる知識学習を前提に、集合研修では総合演習など実践学習を中心に進める。あるいは、集合研修で伝えきれなかった知識を、研修後のWBT受講で補うといったスタイルである。このような活用法をブレンディング、またはブレンデッド・ラーニングと呼ぶことがある。

<5 Check Points>

  1. Eラーニングの代表格はWBTである。
  2. WBTは低コストで実施でき、受講管理が容易な点がメリットである。
  3. 通信教育と同様に、学習の動機付けが難しい点が課題である。
  4. ピンポイントで緊急的な情報伝達にはぜひWBTを活用したい。
  5. WBTは集合研修と組み合わせることで、その利点を活かし限界を補うことができ、成果を最大化することができる。