コンプライアンスリーダーはコンプライアンス経営の要であり、特別な教育が求められる。しかし、コンプライアンスリーダーの位置づけが不明確なことも多いため、各社の事情に合わせた独自の研修企画が求められる。
コンプライアンスリーダーはコンプライアンス経営の要であり、特別な教育が求められる。しかし、コンプライアンスリーダーの位置づけが不明確なことも多いため、各社の事情に合わせた独自の研修企画が求められる。
コンプライアンスリーダーとは、コンプライアンス推進者(員)、部門コンプライアンス責任者(担当者)とも呼ばれ、コンプライアンス方針を組織の末端まで浸透させるとともに、コンプライアンス違反等防止の取り組みにおいて中心的な役割を果たすことで、会社が意図するコンプライアンス経営を実現するための要となることが期待されている。しかしその位置づけは多様で、コンプライアンスリーダーを部門長とする会社もあれば、部門長とは別にコンプライアンスリーダーを任命する会社もある。コンプライアンス規程などにコンプライアンスリーダーの職責(処分規程を含む)を明記している会社もあれば、明確な規程の存在しない会社もある。いずれにせよ、コンプライアンス経営においては重要な役割を果たす存在であるため、研修においても特別な位置づけが与えられなければならない。
このように位置づけが多様であることから、コンプライアンスリーダー研修の企画には模範解答的なプログラムイメージを示すことが困難である。そのため、自社のコンプライアンスリーダーに期待される役割に応じて、その遂行にふさわしい講座を組み立てることが求められる。また、コンプライアンスリーダーは専門職ではないので、人事異動により頻繁に入れ替わりが予想される。そのため、異動の時期においては毎年研修を実施することも必要になる。その際、新任者と既任者が混在することも多いため、講座内容の検討においてはこの点にも配慮が必要になる。
コンプライアンスリーダーに与えている役割にもよるが、少なくとも他の社員よりも深いコンプライアンス経営への理解を求める必要がある。コンプライアンスの定義を理解するだけでなく、実践スキルとしてリスクマネジメントと危機管理の知識が必要である。また、法令教育に関しても一般社員よりも力を入れる必要がある。コンプライアンスリーダーに対して、一般社員から相談が寄せられることも予想されるため、相談対応スキルを含む指導的な役割を果たすための教育が求められる。
コンプライアンスリーダーも社員の一人として一般のコンプライアンス研修を受講しているはずなので、それとの重複を避ける必要がある。しかし、コンプライアンスリーダーの職位は多様であることも多く、全コンプライアンスリーダーが共通のコンプライアンス教育を受けてきているとは限らない点に注意が必要である。とくに法令学習については、法務担当者でもないコンプライアンスリーダーへの知識教育には限界があるため、研修実施と並行してコンプライアンスリーダーだけにアクセスが許される法務相談窓口を用意するなど、仕組みによる補完機能を用意することも必要となる。
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