教育コースの開発のためにインストラクショナル・デザインという方法論が存在する。一般にはEラーニングのコース開発方法論として理解されているが、その内容は普遍的なものであり、様々なメディアを教室に持ち込んで実施される今日の研修では、必ずしもEラーニングでなくても参考になる点が多い。
教育コースの開発のためにインストラクショナル・デザインという方法論が存在する。一般にはEラーニングのコース開発方法論として理解されているが、その内容は普遍的なものであり、様々なメディアを教室に持ち込んで実施される今日の研修では、必ずしもEラーニングでなくても参考になる点が多い。
IDとは、教育の真のニーズ充足のために学習の効果・効率・魅力向上を図る法論であるとされる。最初に提唱されたのは’70年代の米国であるとされるが、一般にはEラーニング教材開発の方法論として理解されることが多いようである。ニーズ調査、初期分析、設計、開発、実装・実施、及び評価というIDプロセスと呼ばれる手順で進められ、この考え方に基づいて教育コースをデザインする専門家をインストラクショナル・デザイナと呼ぶ。
Eラーニングの黎明期においては、既存の研修をコンピュータ化するのだから、これまでの検討で明らかになったニーズをEラーニングのニーズであるとみなせばよいという考え方が強かった。しかし、Eラーニングという従来の研修とは異なる技術を用いた教育では固有のニーズ把握が必要であるとして、新たな実施手順が提唱された。
ニーズ調査と合わせて単に「分析」と呼ぶこともある。厳密には、ニーズ調査で収集された情報を、受講対象者の属性、その業務内容、既存教材の内容、利用可能な技術など、様々な角度から分析し、教育が必要な項目と学習目標などを定める。ここでまとめた情報は、あとに続く設計段階で活用されることになる。
必要な学習を実現するために、現段階で利用可能なメディアを適切に組み合わせ、教育方法を設計していく。ここでは、学習方法とその順序、用意すべきコンテンツの構造などを明らかにする。既存の教材をそのままコンピュータ上に移し替えるのではなく、メディアの違いによる表現の修正や、メディア特性を活かした新たな表現方法・教授方法などを検討する。検討結果はコース仕様書としてまとめられる。
開発段階では、コンテンツをシナリオとして取りまとめたものであるストーリーボードを作成する。これに沿うかたちで素材を作成し、それらを組み合わせて教材として完成させる。このプロセスをオーサリングと呼ぶ。ここで完成した教材は、初期分析の結果と照合され、要件を満たしているかどうか検証される。
開発された教材を活用する段階である。Eラーニングの場合、サーバにインストールされたLMS(Learning Management System)と呼ばれる環境上に実装されて運用が始まる。通常の研修と同じように、受講対象者への案内や申し込みの受け付け、ログインIDの発行や修了証の交付などの業務も伴う。多くのEラーニングコースではメンタリングのサービスが実施される。メンタリングとは、指導教官が受講者の質問に答えたり、学習の進め方についてアドバイスしたりすることである。
IDプロセスの最後は評価である。提供したコースが所定のニーズを満たしていたかどうか、経営効果を実現できていたかどうかを確認し、問題点を抽出しコース改善に役立てていくことになる。
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