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コンプライアンスインストラクター・ハンドブック
(教材開発編)

8.レイアウトの考え方

 グラフィックデザインの世界ではレイアウトを重視する。教材開発はポスター制作などとは異なり、あまり大胆なレイアウトを採用することは少ないであろう。しかし、よりよいスライドや補助資料などを作成するために、レイアウトデザインの基本原則を理解し、必要に応じて活用できることが望ましい。

グリッドシステム

 PPTのスライドでもワープロのページでも、全体を格子状に分割して、文字や図表を格子に合わせて整列させていくレイアウト方法をグリッドデザインと呼び、この格子のことをグリッドシステムと呼ぶ。この方法を採用することで、情報の配置に規則性が生まれ、見やすいレイアウトを簡単に作成することができる。

近接

 「6.情報のブロック化と最適な情報量」の項でも述べたが、レイアウトデザインにおいても同じ情報をまとめることは重要である。互いに関連する情報を近くに配置すると、視覚的に1つのブロックを構成していることを認識できる。各ブロックの関連性を説明することができれば、情報はきちんとした構造を持ったものとして理解されるようになる。結果として読みやすさも増し、記憶に残る可能性も高くなり、学習効果も向上するはずである。1つのブロックに含む情報量を7±2の範囲に収めることはいうまでもない。

整列

 スライドなどを作成する際には、空いたスペースを闇雲に情報で埋め尽くしてはならない。ページ上に存在する全ての情報は、教材作成者の意図にしたがって意識的に配置されなければならない。1つの情報は他の情報と何らかの関連性を持っているはずであるから、その関連性を明確化するように配置されるべきである。整列方法が適切であれば、情報はより明確にブロック化されたものとして識別できる。たとえば同じ意味を持つ文章を1つのブロックにまとめた場合、それを左揃えすることで、何らかの情報を列挙したものであると気づくことができる。しかし、中央揃えをしてしまうとその規則性を認識しにくくなるであろう。

反復

 レイアウトデザインは、反復性を持つべきである。たとえば同じ情報構造を持つスライドを複数ページにわたって作成する場合など、レイアウトデザインを共通にすることが考えられる。1つのスライドについて情報の表示ルールを理解することができれば、他のスライドはその知識をもとに容易に学習することができるはずである。しかもそのレイアウトがグリッドシステムに載ったものであれば、洗練されたイメージのスライドになる。同様に、同じ意味を持つ概念を図案化する際に同じスタイル(形、色など)を採用すれば、さらに理解しやすいものになるであろう。

コントラスト

 これは、あるものが他のものと異なる意味を持つのであれば、思い切って異なる表現を採用するということである。「良い例と悪い例を左右に書き分ける」というのはこの好例である。これ以外にも、色を変える、形を変える、大きさを変える、フォントを変える、罫線で囲む、字下げを行うなどの方法で、「異なっている」という事実をはっきり示すことである。

<5 Check Points>

  1. グリッドを活用することで、整理された印象の文書を作成できる。
  2. 同じ意味の情報を同じ場所に集めることで、視覚的にもブロックを意識させることができる。
  3. 情報の配置に規則性を与えることで、ブロック構造を明確化できる。
  4. 一定の規則を反復することで、理解度を向上させることができる。
  5. 違いを示すべきときは、思い切って異なる表現を採用する。