少部数の教材であれば社内のコピー機で印刷してしまえば済むが、数百部またはそれを超える部数になると、作業ミスも起きやすくなり、人件費も無視できなくなるため、印刷会社を上手に活用すべきである。また、保存版資料の印刷時には、コスト低減に留意して上手な印刷発注を行いたい。
少部数の教材であれば社内のコピー機で印刷してしまえば済むが、数百部またはそれを超える部数になると、作業ミスも起きやすくなり、人件費も無視できなくなるため、印刷会社を上手に活用すべきである。また、保存版資料の印刷時には、コスト低減に留意して上手な印刷発注を行いたい。
印刷プロセスは、印刷会社に原稿を引き渡す前の「入稿前工程」、印刷可能なデータが完成するまでの「プリプレス工程」、印刷が終了するまでの「プレス工程」、そして発注者に引き渡せる形に仕上げる「ポストプレス工程」に分けられる。最近ではMS-WordやPPT等のビジネスソフトでの入稿にも対応してもらえるため、プロプレス工程までの処理が大幅に短縮している。PDFで入稿すればフォントやリンク画像等も埋め込まれるため、発注業務がさらにスムーズになる。なお、複数回の研修を異なる会場で開催する際には、印刷会社に配送まで任せる方が得策な場合も多いことを覚えておくとよい。
研修教材の印刷発注では、印刷する用紙サイズについてはA4やB5などのサイズ指定で足りる。注意すべきなのは用紙の厚さである。コスト削減のために両面印刷を行う際には、オフィスで用いるコピー用紙の厚さでは裏側が透けてしまって読みにくくなるため、若干厚手の用紙を指定する。また、書いたり消したりの繰り返しが予想されるワークシート類についても、厚手の用紙が適している。印刷会社では、用紙の厚さを紙1㎡あたりの重量(坪量または米坪、単位はg/m2)であらわすことが多いので、最適な厚さを覚えておき、継続発注時にその数字を指定するとよい。
レジュメや補助資料を製本する場合、最も多いのがいわゆる「ホチキス綴じ」または「ファイル綴じ」である。前者はコストが最も安いが、研修終了後、受講者に捨てられるリスクが高まる。後者は市販のファイル(バインダ)を用いるためその分だけ費用がかかるが、研修中に配布する資料(ハンドアウトなど)を簡単に綴じ込むことができ、教材の散逸が防げるため、受講後の教材活用が期待できる。マニュアルやハンドブック類のように、常に座右において参照してもらいたい教材については、きちんと製本することが望ましい。簡易な製本形態として「中線綴じ」と「無線綴じ」がある。前者は冊子の中央部を針金などの線材で綴じたもので、比較的安価であるが強度が弱く、ページ数の少ないものでないと採用しにくい。後者は重ねたページの背中を糊づけして製本するもので、コストはかかるが強度があり、ページ数が多く長期保存する冊子に向く。
印刷費低減のためには、印刷会社に渡す原稿の完成度を高めることが有効である。そのままで印刷可能な原稿であれば、プリプレス工程にかかる費用が大幅に削減できる。文章だけでなく図表や段組みまで全て内製化してPDFで入稿し、画像やイラストについては市販の素材集を利用することでさらにコスト削減ができる。また、カラー印刷についても、4色のフルカラー印刷でなく、2色に抑えることができれば、その分コストを下げられる。
研修教材のように比較的小回りのきく対応を求める場合、発注先の印刷会社も比較的小規模な会社になることが多い。コンプライアンスの観点からも、経営体力の低い小規模印刷会社に対し、低料金で過大な品質を求めたり、不当な手直し要求を行うことは避けるべきである。ただし、正当な要求は行うべきで、品質基準を満たさない業者への発注は避けなければならない。そのためにも適正なコスト水準を把握しておきたい。
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