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新任コンプライアンスリーダーの手引き

3.社内組織との関係

 CL業務は多くの関係者との連携で成り立っています。コンプライアンス部門や個別リスク主管部門との連携、上司の理解と協力、そしてCL仲間とのネットワークなど、積極的によい関係を構築していきましょう。また、部門内の同僚に対してはよき相談役としてふるまうことを心がけましょう。

コンプライアンス部門との関係

 CLはコンプライアンス機関ですので、社内ではコンプライアンス部門(CCO機能の執行部門)との連携が最も重要になります。コンプライアンス部門からは様々な会議や研修への出席が求められると思われます。そこではCLを通じて全社に浸透させたい様々なメッセージが発信されます。あなたは上司に報告を行いつつ、部門に情報を伝達します。また、あなたにとってコンプライアンス部門は第2のレポートライン(報告先)です。上司に対する様々な業務報告とは別に、コンプライアンス部門への報告義務も負います。

個別リスク主管部門との関係

 コンプライアンス部門はコンプライアンス体制の確立と運用に責任を負う部門ですが、個々の具体的なリスクに関してオールマイティな対応力を持っているわけではありません。たとえば、情報リスクについてはIT部門が、労務リスクについては人事部門が、商取引リスクについては法務部門がそれぞれノウハウを有しています。あなたがCLとして直面する個々のリスクに対処する際には、これらの個別リスク主管部門との連携をとる必要があります。もし、どの部門に相談すべきか不明な場合にはコンプライアンス部門に問い合わせ、適切な部門と窓口となる担当者の紹介を受けるべきです。また、一旦知り合った担当者との人間関係を大切に維持し、頼れる人脈を形成してください。

上司との関係

 CLはCCOの代理人ではありますが、同時に所属部門のメンバーの1人ですので、部門内では上司との連携が最も重要です。CL機能の多くは部門長である上司の役割を補完する形で設けられています。そのため、通常のCL業務の遂行においては上司の了解、または上司への報告のもとで実施される必要があります。ただし、上司が関与する(またはその疑いがある)問題事情を察知した場合、あるいは上司の協力が得られない場合には、CCOの代理人として、直接コンプライアンス部門への報告が求められます。

同僚との関係

 CLはCCOの代理人ですので、コンプライアンスに関わる事項については、職場の他のメンバーに対しては指導者としてふるまう必要があります。あなたが伝達する情報はCCOからのメッセージであり、同僚からの相談に対してはCCOに取り次ぐべきかどうかを常に意識しながら対応する必要があります。職場の同僚にとって、CLはコンプライアンスに関する身近な相談相手でなくてはなりません。このような立場を同僚に理解してもらうためにも、CL自身の日ごろの行動には十分に注意する必要があります。あなた自身がコンプライアンス違反を行うようでは、同僚はあなたの言葉を軽んじることでしょう。

CL間のネットワーク

 通常、CLは部門で1名しか任命されません。そのため、CL業務はある意味で孤独であり、判断に迷う場面も少なくありません。そんなときはコンプライアンス部門に相談するのが最も確実ですが、身近な仲間とのネットワークがあれば心強いものです。CLが集まる会議なども開催されると思われますので、その席上で関係の深い部門のCLとの交流を深めておき、互いに相談しあえる環境を構築しておくとよいでしょう。ただし、コンプライアンス問題では「みんなで渡れば…」式の解決は危険です。最終的な判断はコンプライアンス部門の助言を受けるようにしましょう。

<活動指針>

  • まず、コンプライアンス部門との連携を確保しよう。
  • 個別リスクについて相談できる専門部署との関係性を構築しよう。
  • 上司との連携は円滑なCL業務の必須条件である。
  • 同僚に接する際は、指導者としての自覚を持とう。
  • CL同士の連携を深め、相談しあえるネットワークを築こう。