コンプライアンス経営では職場の風通しの良さが重要になります。CLにはトップと職場をつなぐコミュニケーションの連結ピンとしての活躍が期待されています。平常時においては方針浸透と定例報告、非常時においては相談・通報対応などが主な役割です。
コンプライアンス経営では職場の風通しの良さが重要になります。CLにはトップと職場をつなぐコミュニケーションの連結ピンとしての活躍が期待されています。平常時においては方針浸透と定例報告、非常時においては相談・通報対応などが主な役割です。
コンプライアンス部門からは様々な方針や行動指針などが発信されます。これらは全社員に対して発信されることも多いのですが、その場合であってもCLの果たす役割は大きいといえます。全社方針は一般性の強い言葉で発信されますので、これを各部門の社員に自分の問題として理解させるためには、実際の仕事に関係づけて説明する必要があります。これがCLの重要な役割です。また、方針は伝達しただけでは掛け声に終わってしまいますので、実務に反映させなければなりません。これを担当者任せにしてしまうと、理解度や協力への熱意の差異により、方針の浸透度に温度差が生じることが考えられます。CLがこの温度差を感知して適切な指導を行うことで、方針の不徹底を避けることができます。
コンプライアンス経営は組織の価値観の変容を伴う施策です。そのため、浸透定着化は息の長い取り組みになります。その間、社員の意識がどのように変わってきたのか、変わらない部分があるとすれば何が足りないのか、といったモニタリングを継続する必要があります。組織の末端に至る現状把握のためには、CLからの報告が欠かせません。CLはCCOの耳目となって、高感度センサーの役割が期待されます。
CLの非常時業務として相談・通報対応があります。これをCL制度の中に公式に組み込んでいる会社とそうでない会社がありますが、いずれの場合であっても、CLは部門におけるコンプライアンスの推進役ですので、相談・通報に対しては適切な対応を行うことが求められます。CLの対応が不十分・不適切であると、外部への通報(内部告発)につながる恐れもあります。対応方法についてはp.13-14にまとめていますので、そちらを参照してください。
職場に潜むリスクを洗い出し、関係者の間でリスクに関する情報共有を行うことをリスク・コミュニケーションと呼びます。リスクとは潜在的な危険であり、普段は表には現れないものです。あえて悪いことを想定するのは気分の良いものではないため、多くの人は正面切ってリスクの話をすることをためらいます。CLには、あまり触れたくないリスクの話をあえて話題として取り上げる勇気が求められます。日ごろからリスクのことを意識しながら仕事を進めることで、組織的または個人的に問題発生に備えようという意識が生まれて来るのです。
現実の損害につながっていない潜在リスクについて、日ごろから情報交換を進めるリスク・コミュニケーションに対して、ことが生じてからの対応に関わるコミュニケーションをクライシス・コミュニケーションと呼ぶことがあります。ここでは、正確な情報を確実に意思決定者に上げることと、関係者間で現状理解を統一することが重要になります。CLの役割は、部門長を補佐してこの要求に応えられる情報処理の中枢となることです。危機管理(非常時対応)については、p.19-20にまとめていますので、そちらを参照してください。なお、外部への情報発信は広報部門の専管事項となりますので、個々のCLの発言は許されません。
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