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新任コンプライアンスリーダーの手引き

5.職場内コンプライアンス教育

職場内勉強会はコンプライアンス浸透定着化の重要な手段です。しかし、兼務でCL業務に従事する皆さんは、これに多大の時間を費やすことは現実的ではないでしょう。部門内会議の延長、メール発信や会議での発言など、使える機会をフル活用しましょう。CL間での共同作業も有効な対策です。

指導者としての役割

 勉強会などのコンプライアンス教育は、コンプライアンスの浸透定着化に欠かせません。CLには部門内コンプライアンス教育の推進役となっていただきます。しかし、CLはコンプライアンスやリスクマネジメント、ビジネス法務などの専門家ではありません。しかも本来業務との兼務で職務に従事されるCLに、本格的なコンプライアンス教育を実施していただくことには無理があります。その補完策がコンプライアンス部門の提供するCL研修や教材類(Eラーニングなどを含む)ですので、それらの活用を含めて、教育機会を模索していただきたいと思います。

職場内勉強会の開催

 コンプライアンス教育の代表例は職場内勉強会です。勉強会といっても、人事部門研修のような本格的なものばかりではありません。参加者の負担を最小化する工夫を行って、継続可能な形で実施していただきたいと思います。たとえば月に1度の部門内会議を延長して、部門に関連する法令や社内ルール改正の話をすることや、後で述べるケースを用いた討議を行うことで、コンプライアンスに関する意識を高めるような工夫が考えられます。また、コンプライアンス部門がモデル教材などを用意してくれる場合にはぜひ活用したいものです。ただし、参加者の負担軽減は可能な限り行うとしても、「多忙を理由とする不参加は認めない」という強い姿勢が必要です。コンプライアンス教育は全員対象が原則だからです。これを徹底させるためには、部門長である上司の理解と協力を得ることが肝要です。

ケースを用いた討議

 一般に勉強会といえば講義中心の形式をイメージしますが、必ずしもそれだけが勉強会のスタイルではありません。違反事例を架空のケースにまとめて、その問題点と正しい対処方法をみんなで議論するという形式も効果的です。慣れるまではケースの作成に苦労されるかもしれませんが、コンプライアンス・マニュアルなどに記載されているケースや、それを改変したケースを活用することも考えられます。うまくできたケースを他部門のCLと共有することも、教育の生産性を上げるために効果的です。

会議での発言

 勉強会もケース討議も難しいという場合でも、会議の席上で、議長から一定の時間をもらい、説明会的に教育を行うことはできるのではないでしょうか。使えるチャンスは全て活かすという姿勢で、少しでもコンプライアンスに関する意識を高められるような働きかけを続けていきたいものです。

参考情報の発信

 なにも部門のメンバーが集まっている場所でなくても教育は可能です。メールなどで参考情報を発信する方法も考えられます。たとえば、すでに発信された全社方針の補足情報や、コンプライアンスに関係するクイズ問題の出題などです。このような情報発信を一人ひとりのCLが担うのは負担が大きいと思います。そこで隣接する部門に所属するCL同士で作業を分担してみてはいかがでしょうか。これに割かれる時間が大きくなるようであれば、部門長の協力を得ることも必要になります。

<活動指針>

  • CLとして可能なコンプライアンス教育の形を工夫しよう。
  • 職場内勉強会は、上司の理解を得て全員参加を実現しよう。
  • ケースを上手に活用することで、学習効果を高めよう。
  • 会議での発言、メールでのクイズ出題など、使える手段を使いこなそう。
  • CL同士の協力で、負担の最小化を実現しよう。