質問は講義中心の講座では唯一の受講者との対話のチャンスである。受講者を怖がらず、基本を身につけて冷静に対処したい。しかし、質問の中には答えにくい質問や、講義中に深入りしてはならない質問もある。このような質問は早期に見分けて、それぞれに相応しい対処が求められる。また、講師の失言への指摘であった場合は誠実に陳謝することが必要である。逆に講師から受講者に質問する発問のテクニックも上手に活用したい。
質問は講義中心の講座では唯一の受講者との対話のチャンスである。受講者を怖がらず、基本を身につけて冷静に対処したい。しかし、質問の中には答えにくい質問や、講義中に深入りしてはならない質問もある。このような質問は早期に見分けて、それぞれに相応しい対処が求められる。また、講師の失言への指摘であった場合は誠実に陳謝することが必要である。逆に講師から受講者に質問する発問のテクニックも上手に活用したい。
講義中の質問は、受講者が講義内容に興味を示し、「もっと知りたい」と感じた証拠である。ベテラン講師にはうれしい瞬間であるが、駆け出しの講師の場合、「間違いの指摘だろうか」「自分に答えられるだろうか」といった不安がよぎるのである。しかし基本を知れば対処は簡単である。自分の知識の範囲で答えられる質問には丁寧に答え、「ご質問ありがとうございました」で結べばよい。講師の知識の及ばない質問や即答困難な質問には相手の連絡先を聞き、後日丁寧な返答をすればよい。よく分からないことに無責任な解答をすることだけは厳に慎まなければならない。また、断定すべきでないことを断定的に解答してはならない。
なかには質問者自身がどのように質問すべきかわかっていない曖昧な質問もある。そのような場合には、「~という趣旨のご質問でしょうか?」と問いかけながら、答え方を探ればよい。これを何度か繰り返すうちに、受講者側も自分が抱いた疑問の正体に気が付いてくるはずである。また、現段階で白黒をつけるような明快な答えが出しにくい質問に対しては、一定の考え方を示しながらも、「現時点では、ここまでの解説しかできませんが、これでお答えになっていますか?」と問えばよい。まじめな質問者であれば、講師が最大限の誠意を以て解答してくれていることを理解するはずである。もし、引き続き無意味に食い下がり、質問を継続するようなら、次の「反発への対処」を参考に対応すべきであろう。
万一、講師に議論を挑んでくるような質問であった場合には、原則としてその場で議論をしてはならない。別途時間をとって個別に対応すべきである。コンプライアンス浸透を目指す研修目的を阻害するだけでなく、他の受講者の貴重な時間を特定の個人のために浪費することになるからである。
講師も人間である以上、失言を完全になくすことはできない。失言は起こり得るという覚悟が必要である。失言対処の基本は、自らの非を率直に認め、謝罪することである。失言に気づいた際には、指摘を受ける前に「いまの発言は不適切でした」と詫びる余裕を持ちたい。間違っても自己正当化の言い訳などをしてはならない。しかし、ときと場合により「詫びても済まない」という事態(不注意による秘密情報の開示や特定の個人を傷つける発言など)もあり得るので、失言には十分な注意が必要である。
発問とは、講師の方から受講者に質問することである。特定の人を指名して、「どう思いますか?」「類似のご経験はありますか?」といったものである。発問により、受講者と講師の距離を縮める効果が期待できるし、その結果、質問しやすい雰囲気も出来上がって学習効果も上がる。しかし、注意しなければならないのは、発問は試験ではないということである。基本的に、発問は内容が明快で答えやすい問いかけでなくてはならない。受講者に恥をかかせてしまうような発問を行ってしまうと、会場の雰囲気を悪化させ、逆効果となるので注意が必要である。
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