研修企画にあたっては、講義を中心としながらも、多様な演習技法を組み合わせることで、学習効果を最大化しなければならない。一般に、コンプライアンス研修では、準備も含め、潤沢に時間を割くことは難しいことが多いため、短時間で実施でき、準備に多大な労力を要するものは避けたい。ここで紹介した技法はそのような条件を満たしており、十分に使いこなせるようにしておけば、講座設計の自由度が大幅に広がるであろう。
研修企画にあたっては、講義を中心としながらも、多様な演習技法を組み合わせることで、学習効果を最大化しなければならない。一般に、コンプライアンス研修では、準備も含め、潤沢に時間を割くことは難しいことが多いため、短時間で実施でき、準備に多大な労力を要するものは避けたい。ここで紹介した技法はそのような条件を満たしており、十分に使いこなせるようにしておけば、講座設計の自由度が大幅に広がるであろう。
講義は教育技法の中心であるが、講義の限界は一方的な知識伝達となり、受講者は受け身になりやすく、自分で考えることにより気づきや深い理解に至る機会が得にくいという点である。話を聞いて「分かった」ということは、「できるようになった」ということとイコールではない。自分で考え、理解不足を自覚することや、活用してみることで「使える知識」として習得させるためには、各種の演習技法を組み合わせて講座を設計しなければならない。
まず手始めに、最も簡単な演習技法であるクイズを活用したい。○×式のクイズ、穴埋め式クイズ、択一式のクイズなど、準備が容易で受講者に考える機会を与えられるため、非常に重宝である。クイズを活用する際には、正解/不正解の結果より、なぜそのような結論になるのか、という点を深く追求することを忘れてはならない。同時にこのクイズを出題した意図をきちんと説明することも大切である。やりっぱなしのクイズでは、受講者は解答を聞いて安心してしまい、より深い理解に至る機会を失ってしまう。
ここでいう事例研究とは、マスコミ等で報道された現実の不祥事を取り上げ、それを他山の石として学ぶことを意図した教育技法を指す。事実が持つ重みは大きく、受講者も非常に興味を持って聞いてくれるので、コンプライアンス経営の重要性を訴えるためにはぜひ活用したい技法である。しかし、ともすると「面白いお話」で終わってしまう危険性があることも忘れてはならない。事例とは、ある特殊な状況下で、ある特殊な主体(個人や組織)が、ある特殊な行為を行った結果、特定の現象を引き起こしたということであり、事件それ自体に高度な一般性はない。したがって、そこから有益な学びを得ようと思えば、教える側が、この事例で学ぶべきことは何か、わが社に関係する要素はどれなのか、十分に分析し整理しておくことが求められる。なお、社内で実際に起きた事象を取り上げることもあるが、その場合は、関係者の名誉やプライバシーに十分な配慮が必要である。また、コンプライアンス研修で事例を扱う目的は学習であり、批判が目的ではないことを忘れてはならない。
ここでいう診断とは、簡単なチェックリストなどを用意して、受講者に自分自身や所属部門の診断をしてもらい、その結果を見ながら講義を進める教育技法を指す。一方的な講義とは異なり、自分自身の問題として講義を聞いてもらえる効果が期待できる。また、診断結果を隣席の受講者間で相互説明を行ったり、それに関するフリーディスカッションを行ったりしても有益な効果が期待できる。
フリーディスカッションとは、特定の題材を与え、それに関して自由な討議を行うことである。たとえば、ある事例を紹介した後で、「これに関してどのように感じますか?」とか「あなたの職場で同様の事例を見かけたことはありませんか?」といった簡単なテーマを与え、短時間(3分~10分程度)の討議を行うことが多い。実施にあたっては、なぜこのテーマについて議論するのか、きちんと目的を伝えておくことが重要である。討議による相互啓発効果はもとより、眠気防止の効果も高いので、上手に活用すべきである。
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