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リスク対策の心理学に関する書籍

不祥事防止に向けたリスク対策に取り組む際に知っておくべき心理学の知見を与えてくれる書籍のなかから優良図書をご紹介します。

リスク心理学の入門書

リスク心理学の概要を学ぶために好適な書籍をご紹介します。

組織健全化のための社会心理学
違反・事故・不祥事を防ぐ社会技術 (組織の社会技術1)
(岡本 浩一、今野 裕之 著 新曜社刊)

最初にお断りとお詫びを申し上げておきます。本書の出版年は古く、いまや新刊での入手は困難です。また取り上げられている事例もいまや古典とみなされるモノばかりです。しかしあえてこの本をご紹介するのは、本書に匹敵する本が他にないからです。リスク心理学の本というだけなら新しい本はあまたあります。しかし本書のように企業経営に焦点を当て、不祥事の防止に特化した形で知見をまとめたものは他に見当たりません。その意味で貴重な一冊です。
本書の特徴を一言で述べると、不祥事を起こした企業で交わされたコミュニケーションを分析し、それを繰り返さないためのヒントを与えてくれる点です。著者の一人である岡本浩一氏は茶人であり、社会心理学者でもあるという変わったバックグラウンドの持ち主です。
なお、同じ著者によるリスク・マネジメントの心理学―事故・事件から学ぶもありますが、こちらも絶版ですのでAmazonで古書として入手していただきたいと思います。
ともにお手元において損をさせない本です。
(発売日 2006.07.15)

ヒューマンエラー対策

不祥事の原因の一つであるヒューマンエラーについて学ぶために好適な書籍をご紹介します。

仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方
(宇都出 雅巳 著 クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 刊)

ヒューマンエラーとは言い替えればケアレスミスであり、やったことのない人などいないと思います。しかし、発生する場所やタイミング次第で大変な不祥事となることがあるので、コンプライアンス経営の立場からも決してなめてかかってはならないリスクでもあります。某証券会社の発注ミスの一因もこれですね。
しかし、ヒューマンエラーについて本格的に学ぼうとすると認知心理学の基礎から始めるような大掛かりな話になり、専門家ではない人にとっては少々手におえない話になりかねません。
そこで本書をお薦めしたいのですが、ここではオフィスで起きやすいヒューマンエラーを「メモリーミス」「アテンションミス」など4種類に分け、その特徴や防止法などを身近な事例を用いて説明してくれています。コンプライアンス研修などで注意喚起をする際など、このような知識を持っておくと講義の説得力も上がると思います。
(発売日 2016.08.12)

集団意思決定のリスク

組織が意思決定を誤るポイントの一つである集団意思決定のリスクについて解説した書籍をご紹介します。

会議の科学
健全な決裁のための社会技術 (組織の社会技術2)
(岡本 浩一、石川 正純、足立 にれか 著 新曜社刊)

申し訳ございません。これも少々古い本です。しかし、コンプライアンス違反が組織決定される際には必ずと言ってよいほど「会議」が関わっています。効率的な会議の進め方に関する本は多く出版されていますが、そのリスクについて系統的にまとめられた本は他にはないと思います。
本書はその一冊であり、組織健全化のための社会心理学の著者である岡本浩一氏によるものです。会議を開いて物事を決めるという行為に潜む落とし穴を明らかにし、その対策を含めて解説されています。
古書になりますが、Amazonで見つけて一冊手元に置く価値のある良書です。
(発売日 2006.08.16)

認知バイアスの理解

誤った意思決定の原因の一つである認知バイアスについて解説した書籍をご紹介します。

情報を正しく選択するための認知バイアス事典
(情報文化研究所、山﨑 紗紀子、宮代 こずゑ、菊池 由希子、 高橋 昌一郎著 フォレスト出版刊)

行動経済学の大流行の影響か、認知バイアスに関わる書籍の出版ラッシュが続いています。しかし認知心理学の基礎から学習を始めるのは結構大変です。そこでコンプライアンス部門の方にお勧めしたいのは、まずは認知バイアスとは何かを現象面から理解することです。そのためには、どのような場面でどのようなバイアスが生じやすいのかを知ること。様々なバイアス類型をしることで、認知バイアスとは何かという大まかなイメージをつかめるでしょうし、実務に即した形での社内への注意喚起につなげられると思います
その意味で本書は最適な一冊と言えます。難しい理屈抜きに「大体こんな感じです。わかったでしょ?」という感じで淡々と解説してくれます。まさに事典ですので、必要に応じて参照するための資料としても好適です。
続編として行動経済学・統計学・情報学編も出版されています。この二冊を手元にそろえておけば認知バイアスの参考資料としては十分でしょう。
(発売日 2021.04.10)

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